三島手の鉢をつくる

今回の動画では、三島手(唐津三島)の鉢作りの工程を紹介しています。
 
私は日々、唐津三島の作品制作に取り組んでいます。
唐津焼は1580年代頃から肥前国(現在の佐賀県・長崎県)で作り続けられている陶器です。私は伝統的な唐津焼の技法を受け継ぎながら、独自の手法や模様を作品に取り入れています。

今回は特にゴムベラを使った象嵌技法を紹介しますので、最後の窯出しまでお楽しみいただければ幸いです。
まずは、約21cmの大きさの鉢をろくろで成形します。コテを使って土を締めながら伸ばしていきます。成形が終わった段階で、竹ひごで作った道具を使って、器にラインを彫ります。

その後、約12時間ほど乾燥させます。12時間後、器の口を合わせることで均一に乾燥させることができます。
その後、カンナで削りやすい硬さになるまで乾燥させます(完全には乾燥させません)。

程よく乾燥したら、カンナ削りの前に印花を押します。
墨を使って彫り模様の「アタリ」を付け、カンナで彫り込みます。
次に、化粧土を塗り込みます。刷毛を上下に動かすことで、化粧土を窪みにしっかりと入れます。余分な化粧土をゴムベラで表面から掻き取ります。

乾燥させた後は素焼きし、釉薬を掛けます。
釉薬には灰が多めに配合され、鉄分の多いものを使用します。
焼成中にできたピンホールは、指で撫でることで消すことができます。ピンホールをそのまま残しておくと、焼き上がりに穴が残ってしまいます。

最後に、窯に入れて焼成します。約1240度で14時間ほど焼成し、その後2日ほど窯が冷めるのを待ちます。

窯出しです。納得のいく仕上がりになりました。

釉薬に灰が多めに配合されると、鉄分が多くなり、緑色の発色が強くなるという特徴があります。

今回は、唐津焼の伝統技法と独自の手法を組み合わせた鉢作りのプロセスをご紹介しました。唐津焼の魅力や工程の一部をお伝えできたかと思います。
今後もさまざまな作品に挑戦していきたいと思います。引き続き、応援していただければ幸いです。